祖母と2つの約束を交わしました。1つは祖母が亡くなったら夢に出てきて欲しいということ。もう1つは私にぴったりの旦那さんを見つけて欲しいということ。しばらくして亡くなった祖母は見事にその2つの約束を果たしてくれました。後にも先にもこれしかない不思議な体験です。
私の母は高校生の頃に父を病気で亡くしそれからは母とふたりで生活をしてきたそうです
そんな母の結婚の条件は、「お母さんと一緒に暮らしてくれること」でした。
籍は旦那さん側に入れるけど、妻側の親と同居といういわゆるマスオさん状態が約束されている結婚は、当然ながら嫌がる男性が多く結婚を断られることもあったそうです。
そんな中、それでもいい引き受けてくれたのが父でした。
私は産まれたときから祖母と一緒です。
母が仕事で忙しいときは祖母が幼稚園の送り迎えをしてくれたり、私に妹が産まれて赤ちゃん返りをしたときは、そっと私を連れ出し遊んでくれたりと、祖母なしでは生活が成り立たなかったくらい本当にお世話になりました。
子育ての面だけではなく、金銭面でも精神面でも私たち家族は祖母に頼りっぱなしでしたが、祖母本人はいつでも笑顔で優しくて、人のために生きているような大きな大きな心を持っている人でした。
それなのに、私が中高生のころはいつでも心配してくれる祖母がうっとうしく感じ冷たく接してしまったこともありました。
そんな私も専門学校に入学する頃には、気持ちが落ち着き再び祖母と色々な話をするようになりました。
そんな矢先、もともと患っていた心臓の病気が悪化して祖母はいきなり寝たきりの生活になってしまいました。
専門学校入学と同時に一人暮らしを始めた私は、休みの度に実家に帰っては、祖母のお世話を出来るかぎりお手伝いしました。
これが私にできる精一杯の恩返しでした。
祖母はそんな私を見て「いい子に育ったなぁ。いい子だ、いい子だ。」
二十歳近い私の頭をまるで赤ちゃんにするようにぐりんぐりんとなで回してくれました
私は「もともといい子だよ」なんて憎まれ口を叩きながらも、中高生の頃に冷たくあたってしまったことを心の中で何度も何度も謝りました。
祖母は余命を宣告されるくらい容態が悪く、それは自分でもよくわかっているようで、自分が死んだあとの話をよくしていました。
私は、祖母に「ばぁちゃんが死んだら、絶対に夢に出てきてね。寂しいから夢で会いたい。」と、何度もお願いをしました。
そして、もう1つ。
祖母はなかなか可愛らしい人で恋愛話も大好きでしたので、一人暮らしを始めた私に「彼氏はできたのか?」と、会う度に聞いてきました。
その当時、私には彼氏がいなかったので「なかなかできないんだよね。そうだ!ばぁちゃんが空から見てこの人いいなと思ったら私のそばにぽとんと落としてよ!」とも約束しました。
祖母はどちらの約束も「わかったよ。」と受け入れてくれました。
間もなくして祖母は亡くなりました。
そして、その2日後まず1つめの約束を果たしてくれました。
私の夢に祖母が出てきてくれたのです。
しかも、私が産まれる前に亡くなった祖父を連れて。
祖父とは1度も会ったことはないし、写真すら見たことがないのに、何故だかすぐに祖父だとわかりました。
祖母と祖父は頬と頬を合わせて久しぶりの再会を喜んでいるようでした
無事にあの世で会えたことを私に知らせてくれたのだと思います。
泣きながら目が覚めて見た夢のことを母に伝えると、母も安心したようで涙を流していました。
私は夢に出てきておじいちゃんが祖父だったのかを確かめるために、顔の特長や髪型、服装を母に確認すると母の記憶の中の祖父そのものだったようでとてもびっくりしていました。
私は自分が産まれる前に亡くなった祖父にずっと会ってみたかったのですが、夢で初めて会うことができてなんだかとても幸せな気分になりました。
また、祖母が亡くなって1年後にはもう1つの約束も果たされました。
そう、私にぴったりの旦那さんが現れたのです。
祖父と祖母は15歳離れた年の差結婚でしたが、私と主人も20歳離れています。
歳上が好きだった祖母らしいなぁと笑ってしまいます。
それまで結婚相手どころか彼氏すらできなかった私が、主人と出合いすぐに婚約、とんとん拍子に事が進んでいったのです。
祖母が応援してくれていたとしか思えません。
祖母が亡くなってから4年が経ちました。
結婚してから構えた新居には祖母の写真が飾ってあります。
私は毎朝その写真に手を合わせるのですが、最近1歳半になった息子も私の真似をして祖母の写真に手を合わせてくれます。
息子もまた会ったことのない祖母に写真を通して会っているのだと思うと、家族の繋がりに感動すら覚えます。
きっと、心配性な祖母はおっちょこちょいな私を心配して今でもそばにいてくれるのだと思います。何事もなく平和に暮らせているこの喜びに感謝して、いつまでも祖母との思い出を大切にしていきたいです。