あの音はなんだったのか…今でも思い出すと不思議な体験

不思議な体験談

私は東北生まれです。

福島県在住。Aさんの体験談。

実家は昔ながらの農家で、畳の部屋の区切りは上が障子の下が摺りガラスの引き戸でした。

築年数もかなりの物で廊下を歩くと必ず軋む程古い家でした。
ただ部屋自体はかなり広く作られており、一家6人のびのびと過ごせました。

茶の間の隣は仏壇がある部屋、その奥には古い置き物や掛け軸が飾られ、その隣には祖父母の部屋がありました。

茶の間と仏壇の部屋は廊下からも行き来できるようになっています。

私は当時高校生でいつもなら夕飯を食べ終えたらすぐに2階にある自室へ籠もるのですが、なぜかその日はお風呂から上がり、茶の間でダラダラと大の字になってケータイを見ていて母親はテレビを見ていました。

気づいたら父親も弟もとっくに2階の自室で寝ていました。

24時近くになり、茶の間でいつの間にか寝ていた母親がふと起きました。

そしたら、聞こえたんです。

仏壇がある部屋から、ズリッ、ズリッと足を引きずる音が。
最初は、祖母は足が悪かったのでトイレにでも起きてきたのだろうと思っていました。

2人で顔を見合わせ、この時間にテレビの音量うるさかったかなとボリュームを下げました。

その音はだんだんと茶の間に近づいてきました。

ここで、あれ?と思いました。

いつものパターンだと仏壇の部屋から引き戸を開けて廊下を通りトイレへ行く。

しかし、いくら待っても引き戸を開ける音や廊下の軋む音がしないんです。

あと、ズリッズリッという音は私たちが居る茶の間の目前、引き戸を開けると入ってこれますよの位置で止まったのでなおさら恐怖でした。

だって、仮に祖母がトイレではなく私たちの様子を見に来ただけであったら帰る音がするでしょう?

茶の間と仏壇がある部屋を仕切る引き戸のすりガラスの先には何も見えませんでした。

私たちを確認したあとに、すぐさま自室に戻る事は足が悪い祖母には出来ません。つまり祖母は居なかったという事です。

2人とも一言も発せず、怖くて固まっていました。

時間にすると5分も経っていませんでしたが、かなり長く感じました。

早く寝よう、と母親が呟いて2人とも2階の自室に逃げました。
翌朝、念の為祖母に聞きました。

昨日の24時頃にトイレに起きてきた?って。

そしたら、昨日は熟睡してて一回も起きてないよ。母親と同じことを聞くんだね。と言われました。

母親も不思議に思ってすでに確認していたみたいです。
あの音は結局なんだったのか分かっていません。
ただ今でも思い出します。畳の上を足を引きずるような音が。