従姉妹が事故に遇い意識不明の最中、引っ越しも終わり家族三人で寝ていると、ふと目が覚め、天井を見上げるとこちらを見下ろす人影があり、その日を境に鏡が割れたり、物が落ちてきたりと怪奇現象に悩まされました。ところが従姉妹の意識が戻った途端、怪奇現象は収まりました。
引っ越しをする三日前に従姉妹が大阪で事故に遇い意識不明の重体との連絡を受けました。
母と二人で従姉妹の意識が戻るのを祈りつつ、引っ越しをしたのですが、その日の晩の事でした。
引っ越しも終わり荷物が片付いていないという事で、妹を真ん中にして家族三人で川の字になって眠りにつきました。
すると何故か目が覚めてしまい、時計を見るとまだ2時になったばかりだったので寝直そうとしましたが眠れず、ふと天井を見上げました。
すると真っ暗の中でもわかるほど、私を見下ろす人影がそこにありました。
驚いて布団を被ろうと手を動かしたのですが身体が動かず、声を出そうにも全く声が出せませんでした。
私はすぐに意識不明の重体と聞かされていた従姉妹だと思い、目を閉じて「此処は君が帰る場所ではない」と必死に念じました。
限界だったのか気が付くと朝になっており、母にその事を話すと「知ってたよ」と言われました。
知ってたなら助けて欲しかったと思いつつ、起きて引っ越しの荷物をほどいていきました。
その日を境に奇怪現象と言わざるを得ない事が起こり始めました。
手始めに脱衣場に木で出来た棚が元々備え付けてあるのですが、そこに物を乗せていたのです。
するとある日突然、脱衣場の棚に置いてあった物が落ちてきました。
落ちるような置き方はしていなかったので、母と二人で顔を見合せ「誰かいるね」と言い合いました。
引っ越した家は曰く付きだったようで、心当たりがもう1つあったのでそっちの方かと、この時は思っていました。
しかしその三日後、今度は玄関に置いていた鏡が突然割れてしまい、ひとりでに落ちていく瞬間を目撃してしまい、買ったばかりの鏡と言うこともあって母は落ち込みつつ嫌な予感がすると叔母に電話をしました。
すると丁度今夜が山だと知らせを受け、電話を切った母はすぐさま仏壇へ向かいお経を唱え始めたのです。
決まった時間お経を唱えるのが日課な母は、いつも以上にお経を唱え続けた一週間後、従姉妹の意識が戻ったと報告を受けました。
その間も後ろから視線を感じたり、妹は廊下で人影を見たと大泣きする事がありましたが、従姉妹の意識が戻った途端、ぱったりと奇妙な現象は無くなりました。
最後に母と二人で「やっぱりそうだったんだね」とほっとしつつ、ある意味怖かった体験でした。