ポケモンGOを始めた私に憑いてきた「何者か」恐怖の実話体験談

恐怖の心霊体験談

この夏流行ったポケモンゴー。息子にせがまれ二人で楽しんでいました。ある日息子が行きたがった場所は地元の人も近付かない旧火葬場跡でした。そこで不思議な体験をしてから息子にも、母にも恐怖体験が広がって。この夏の実体験です。

ポケモンゴーというアプリが流行っています。自分の位置情報とアプリが連動した地図を頼りに、近くにいるポケモンの情報を集めて、実際にその地図が示す場所へ行きポケモンをゲットして集めるというゲームです。私の息子もやりだしました。

「お母さん、この近くにポケモンいるんだけどわからないから車で連れて行ってくれない?」この一言から私と息子のポケモンゴー生活が始まりました。

息子にポケモン探しをせがまれては車を出すと流れが日常になっていきました。だけど一ヶ所だけ行きたくない場所がありました。地元でも誰も近づかないと言われている所。

私は「ここなんだけど」と息子にせがまれる度に「ええっ、そこ近いからつまらんよ、もっと違うところに行こうよ」と必死に避けていました。ある日息子が「お母さん、自転車でここへ行ってくるわ、近いし一人で行けるから」と地図を見せてきました。間違いなく、例の場所でした。

「お母さんが違うとこ連れて言ったろうか?暑いし、暇だし」
こうやっていつも上手く交わしてきましが、その日はどこか違っていて「大丈夫、平気。じゃあ行ってくるね」と息子は素っ気なく家を出て行きました。私は慌てて追いかけると「待ってよ、お母さんも暇なんやから連れて行ってよ、ずるいわ」と息子を強引に車に乗せました。

私が嫌がるあの場所は家から5分ほど走った小高い山の上にありました。目的地に近付くと「こんなに近くにあったんや!」と息子ははしゃぎました。

「アイテムを取ったらすぐ別の所に行こうな、時間もったいないし」私はとにかく早くこの場所から立ち去りたかったのです。「お母さん、ここや!ここ!」と息子が言った時、「〇〇市旧火葬場跡」という石碑が見えました。

それを横切り少し開けた平地に綺麗に整備された駐車場があり、その奥には新しい公園も見えました。よく晴れていて空も明るく、周囲の木々がザワザワ揺れている素敵な場所だったのですが、なぜかこの駐車場だけ異様に暗く感じました。

ここだけ日陰のような感覚です。
「お母さん、この辺で停めて」私は息子に従い駐車場に車を停めました。「まだ?早くしてね」と平静を装いましたが本当に嫌だった。その時トントンとすぐ横のドアから音がした。

私は心臓が飛び出るほど驚いて目を向けました。すると、さっきまでいなかったはずの親子連れが窓の向こうに立っていました。それも車の中を覗くような距離で、顔が車の窓にくっつくような異常な近さだったのです。長い黒髪のツバの広い帽子を被った女性と小さなオカッパの女の子。

明らかにおかしい。私は車を急発進させました。「うわっ」と息子が後部座席にひっくり返り「びっくりした、どうしたん?」と目を見開いて私に抗議してきました。「ごめん、ごめん、移動しよか。

お母さん、あそこあんまり好きやないわ」と誤魔化し笑いをしましたが目は笑っていなかったと思います。そこには昔火葬場があったと以前誰かに聞いたことがありました。

数ヵ月前、面白半分に〇〇市の怖い話をネットで検索していたらたまたまヒットした「旧火葬場跡」には「工事に関わった職員が何人も不慮の事故に遭ったり不思議な体験や怖い体験をして延期になりながらも完成した。

この話を近所の整骨院で霊感があるという整体師さんに話したら、電話が鳴り、整体師さんは電話を取ると数秒後に電話を切り戻ってきて「その話は誰にもしない方がいいと言った。本当にヤバい、近付かないほうがいい。元職員」とカキコミがありました。確かに地元の人はあまり行かない場所でした。

私はしばらく車を走らせて息子に聞いて見ました「さっきのさ…見た?」「ん?なにを?」「え…、トントンて聞こえたやん。見てないの?」「……はてな、はてな」と息子はおどけていました。その様子を見て、息子には見えてなかったんや…自分の見間違いか妄想か。

「さっきな、実は親子を見たんよね。知らない人やったけど、怖かったわ」と早口で息子に話して、私はなんとか気持ちを落ち着けて息子の指示通りに車で数ヵ所かを廻り、家へ帰りました。車を降りてドアを見ると、黒の塗装に二つくっきりと焼け跡のようなものがついていました。火の玉のような形をして灰色に変色した大小二つの塊だった。私は無言で洗い流しました。

次の日、息子が小学校の運動場で遊ぶと言い、家を出ていきました。それは学区内の子供同士で遊ぶ日常的なことだったので、いつも通り見送りました。すると、一時間後に帰ってきました。私は何か様子がおかしいと気になり、息子にたずねました。

「どうしたん?今日は早かったね」息子は浮かない顔で応えました。「うん、学校行ったんよね、そしたら女の子とおばちゃんがずっと僕を見てるんよね、お母さんが変な人に会ったらすぐ帰って来なさいって言うてたから、僕帰ってきたんだ」

私はぞっとしました。
見覚えのある光景がよみがえりました。「へぇ。なんやったんやろね」と息子がそのことを気にしないように軽い返事を返しました。
数日後、誰もいない昼下がりを楽しんでいたらチャイムが鳴りました。

インターホンで外のモニターを見ると、あの親子連れが立っていました。それを見た瞬間、全身の毛が逆立ち鳥肌が立ちました。私はガクガク震えて急いで勝手口から外へ出て夢中で歩きました。外は晴天で雲ひとつない青空だったけど、恐怖で何も考えられなかった。

そのまま歩いて、すぐ近くにある実家へ行くと私はこれまでのことをすべて母に話した。「ええ……、やっぱりあそこ何かあるんやね、気持ち悪いもん、綺麗になって公園できたけど誰も寄り付かないし」と母は言っていました。その後なんとか自宅へ帰りました。

数日後、母から電話がありました。「実はさっき、玄関の戸がカチャカチャ鳴ったのよ。犬が外へ出ないように蝶番で留めてる戸あるやん?

それがカチャカチャ鳴ってるのよ、いつもは誰か来たら犬が吠えるんやけど、吠えないし、おかしいなと思ってしばらく見てたら、少しだけ開けてあった隙間から手が見えてな、戸の向こうで誰かが蝶番をカチャカチャとやって開けようとしてるのよ。でもガラス戸超しには何も見えないし、誰も立ってないの、でも隙間からは手だけが見えるの。

犬も吠えないの。そしたらお父さんが二階から降りてきて、音が止んで、その手が消えたの。おかしな話やろ?」と支離滅裂な話をしました。

だけど、なぜかぞっとする話でした。実家の造りを知っている私は、その蝶番を触ると必ずガラス戸超しに誰かが映るのを知っていたからです。しかも、手だけ見えて姿がないって……。ふと、あの親子連れを思い出しました。この話を誰かに話したら、そこへ行くのでしょうか?

ネットのカキコミにもありました。整体師さんに話したら電話が鳴ったって。そして息子のところにも。母のところにも。わたしのところにも。そういうことなのでしょうか?何が何だかわからないけど、あれからは何も起きていません。本当にあった話です。