大学時代遊び半分の気持ちで廃病院を訪れた。そこは、薄暗く奇妙な雰囲気がした。そして調子に乗った友人が病院にある道具を持ちかえってします。その後事件が発生し友人の命まで狙われる怖い体験をすることになる。
俺がこの恐怖体験をしたのは大学生の時のこと。当時、大学で地元じゃない街に住んでいた俺は、密かに大学の仲間たちと、心霊スポット巡りや、ホラーDVD鑑賞なんかをよくやっていた。
いわゆる心霊ブームというやつだった。大学では、車の免許をとりたての奴もいたりして、そいつの車に仲間の5人くらいで乗っては、その地のいろんな心霊スポットにも行った。この時のことは、生涯忘れられない思い出に今でもなっている…。
「俺、ここが地元だから知ってるんだけどさ、かなり有名な廃墟の病院があるんだ」
仲間のうちのKの誘いで、俺たちは仲間の5人でその病院に行ってみることになった。見るからに古い病院で、時刻が深夜1時くらいだったこともあって、辺りの静けさと共に不気味さを増していた。
Kを筆頭に、TとAも酒が入ってノリノリだったのを覚えている。若干びびり気味だった俺と、Qは、そのあとをついて行った。『ここは昔、まだ病院だったときにかなりのヤブ医者がいたらしくてな、医療ミスでたくさんの人が死んだらしい。
そんでその医者は病院を辞めさせられることになったんだけど、最後まで辞めないって言い続けたらしく、最後にはその医者が狂って病院で暴れて、看護師とか他の医者を暴行して、かなりの死人が出たって噂だぜ』Kは病院に入るなり、わざとらしくそんな馴れ初めを話し出す。TとAはわざとらしく騒いで、ビビっているふりをして楽しんでした。
そんな姿をみて、俺はもう帰りたい気持ちでいっぱいになっていたんだが、Qも一緒になってビビっているのが分かってそれが安心させた。病院は本当に真っ暗で、懐中電灯だけを頼りに進んでいった。
俺らが何故ここに入れたかというと、病院のメインの扉は当然鍵が閉まっているものの、窓ガラスのあちこちがわれていて、そこを板とガムテープで補正されていたのを、心霊スポットと聞きつけた他の人たちが壊して侵入したために、今はこうして心霊スポットとして入り放題になっているようだった。
まったく余計なことをしてくれたもんだ。今でもはっきりと残っている、それぞれの入院患者の部屋番号が不気味だった。ここの部屋でもしかしたら、そのヤブ医者って奴の失敗のせいで、誰かが実際に亡くなったのかもしれない・・。そう思うとぞっとした。
「やっぱりさ?。病院といえば、霊安室だよな!そこをラスボスにしようぜ」Tが調子にのってどんどん前に進んで行く。考えただけで恐ろしかった霊安室。しかし、実際に行ってみると、ただくらい部屋にポツリと汚いベッドが置いてあるだけだった。
とにかくそこで写真を撮りまくった俺たちは、最後に手術室でも覗くかということになり、手術室に入った。正直。実際の手術代や、当時のままの器具なんかもそのままだったそしてKがそのうちの1つのハサミを手に持って、「俺、今日の記念にこれ持ってくぜ?」と言った。
それに続いてTとAもそれぞれに糸とガーゼを持っていった。当然、俺とQもという流れだったが、なんとか冗談で「それじゃ窃盗じゃん」と言ってかわすことができた。それから1週間後のことだった。突然、Kがバイクの交通事故で亡くなった。
そして、続いてAも突然大学を休むようになり、Aのことが心配でAの自宅に見舞いに行った。Tは何故か連絡がつかなくて、結局俺とQの2人だけになった。Aの母親が、玄関に出てくるなり「今はちょっと・・体調が悪いみたいなの」と言っては門前払い。
Kの葬式にも来なかったし、おかしいな?と思ってはいた。すると、3日くらいしてからTからやっと電話がかかってきたのだ。T「もしもし…俺「お前。心配してたんだぞ!Kが死んでからAも体調崩しさ・・。お前は大丈夫なわけ?」
俺がそう問いただすと、T「大丈夫じゃない・・」そう言って泣き出した。T「俺たち、お前らと心霊スポットに行ったあと、それから毎晩電話がかかってくるんだ・・」俺「電話?」T「Kは事故で死んだ日…たぶん病院に返しにいったんだ・・持って帰ってきたものを」俺はTの言っている事をようやく理解できた。俺は、震えが止まらなかった…。
「たぶんあの病院からだ・・。はっきりとした男の声で「返してください」とだけ言われて電話が切れるんだ。」その後、TとノイローゼになっていたAを連れて、持ち帰ってきた器具を持ってすぐにお祓いに行った。ご就職からはかなりのお叱りを受けた。遊び半分でこんなことをしてはいけないのだと、本当に心から怖かった体験です。