これは私が旅館ホテルに転職した時の話です。
全く霊感の無い私は、霊の存在すらも信じていませんでした。ある日、団体様がチェックインをする前に1番壁側の部屋からルームキーを各部屋にセットをしていました。
401.402.403と順番にセットをしていたのですが鎧を着たような人が後ろら下は絨毯なのに、(ザッザッザッ)と近づいてくるような足音がするのです。
私は怖くて振り返れず、ルームキーも下駄箱の上に放り投げるように入れ、その足音も速くなるので途中で放棄して非常口を使ってフロントに戻ろうとした時に誰もいないはずの非常口で誰かとすれ違うように耳元で「ア”ァ”ァ”ーッ」と男の人の苦しそうな声で叫ばれ、ますます恐怖心でいっぱいの私は泣きながら階段を駆け下り、残り5段のところで背中を押されたのです。
幸いにも非常口のドアが空いていたので怪我はせずにすみました。そこから残ったルームキーは違う人に行ってもらいました。私は今後もあの階には二度と行かなかったです。
また違う日に夜寝ている時に初めて金縛りの体験もしました。
そして翌日、いつも仕事終わりに温泉に入るのが楽しみで、その日も身体を洗っている時に太ももの付け根と足首、腕にくっきりはっきりと誰かの手形が付いていたのです。ちなみにその手形は1週間くらい取れませんでした。
明らかに自分の手より大きな手で、女子寮だったので誰も入れる訳もなく…未だ思い出すと謎です。
ある日では温泉で鏡越しに露天風呂に誰かが入っていたのが見えたので、お客さんがまだ入ってるんだなーと思いながら身体を洗ったりしていたのですが入浴後、清掃員の人が入って来たので、まだ1人入っている主を伝えたところ、どうやら私が1番最後だったらしいです。では鏡に映っていた人は一体…。
何日かして、その日は夜勤でした。
宴会時間も終わり夜警さんに引き継ぎを終えて、温泉に入って帰ろうとした時にフロントの前を通った時には誰も居なかったのでそのまま帰ろうとしたら、旅館ホテルの入口に夜警さんが立っていたので、「お疲れ様でしたー」と挨拶をしましたが、応答がなかったので、翌日「なんで昨日の夜挨拶無視したんですかー」っと聞いたらその時間、夜警さんは厨房を回ってて外には出てないと言うのです。
それから月日は過ぎ、結婚を機に退職しましたが、親戚でかなり霊感の強い叔父が私に言いました。
「やっと辞めたのか?辞めた今やから言えるけど本物のお化け屋敷で働いてたお前に叔父ちゃん尊敬したわ」と笑いながら話すのです。
叔父さん曰く、その場所は昔落ち武者の戦場のだったらしく、沢山の落ち武者の霊がいたみたいで今思えばゾッとする恐怖の体験でした。
ちなみに入口には今も警備員さんの格好をした霊が立っているらしいです。