みんなには見えない物が見えるようになってから、日々を過ごすのが辛かったです。
誰も理解してくれない。嘘をつくなと言われる。
そんな日々が続き、鬱ぎ込む日が続いていきました。
ある日、いつものように通学路を歩き、家までの道を歩いていました。
黒猫が巻き込まれた幹線道路は通学路でしたので、あまり道路の方を見ないように歩いていました。
「今日はなんだかおかしい…。」
いつも見えてる、見たくない物が少ない。
見えないのは嬉しいことだけど、急に見えなくなると、言い様のない不安感に襲われる。
事故で亡くなったのか、地縛霊なのか、いつも同じ場所にいる女性の霊が建物の隙間から私を見てる。
極力見ないように、気付いてないように、歩きました。
背中と手は、びっしょりと汗が吹き出てくる。
今日は、心地よい日差しなのに…。
怖くなり、走って住んでいたアパートのエレベーターに飛び乗りました。
でも、エレベーターの雰囲気がおかしいんです。
当時私が住んでいたのは7階。
「早く!早く!」
とはやる気持ちを抑えられませんでした。
すぐに降りられるように、エレベーターの前方に立っていました。
すると、後ろで物音がします。人の気配もします。
誰もいなかったのに!
恐る恐る振り向くと、自殺者でしょうか?
身体がグシャグシャになった人が乗っていました。
人は恐怖が最高潮になったら、声なんて出せません。
その人は、私に気付き、手を伸ばしてきました。
もちろん逃げる場所なんてありません。エレベーターの中の完全な密室状態。
どんどん近づき、もう少しで手で掴まれる!という時
つむじ風が起きました。
でもここは、エレベーターの中です。
そのつむじ風は、あの霊を吹き飛ばしました。
安心したのも束の間で、つむじ風は私にジリジリと近づいてきました。
また恐怖にかられます。
逃げようにも逃げれない。
もうすぐ7階に着くという所で、つむじ風は私の右膝に当たりました。
激痛が走りました。
7階に着いて、右膝を見ると、膝はぱっくりと割れていました。
不思議と痛みもなく、血は一滴も流れてきてませんでした。
膝がぱっくりと割れた事で歩きづらくなりました。
母は私の膝を見て、病院に連れて行ってくれましたが、
その後、お寺かどこかに連れて行かれました。
あとから「カマイタチ」に襲われたのだろうと言われましたが、本当にそうだったのかどうかわかりません。
ただ、私の右膝には、当時の傷が今でも残っています。
カマイタチよりも、私に手を伸ばしてきたあの霊の方が今でも怖いです。