【形見の指輪】椅子を拾ってから起る数々の不幸を救った不思議な体験談

不思議な体験談

ゴミ収集所で拾った一脚の椅子によって起こり始めた不幸。精神的に追い詰められたある日、布団の中から母の形見の指輪が現れます。指輪を身につけてから変わり始めた生活。新しい職場の先輩から、あの椅子には憑いているからすぐに処分するように言われお焚き上げ供養しました。

霊感など微塵も無い私の唯一の体験談です

今から10年以上前、それまで一緒に暮らしていた姉の結婚を機に1人暮らしを始める事になりました。

今まで住んでいた部屋を出て、もっと手狭なマンションに引っ越しました。

ある日の帰宅時、近所のゴミ収集所に家具が山積みになって出されていました。

今だと考えられませんが、当時私が住んでいた地区は月に一度大型ゴミの日があり、その日にはタンスやテーブルなど大きな家具類もゴミ収集所に普通に捨てていたのです。

そんな山積みの家具の中に一脚の椅子を見つけました。
座席部分に淡いピンクの布が貼ってある木製のアンティーク風の椅子でした。

かわいい椅子だな、と思いながらもそのまま家に帰ったのですが、どうしてあんなまだ使える物を捨てるんだろう、もったいないな、とずっと椅子の事を考えていました。

そしてとうとう夜中にこっそり見に行きました。
椅子はまだありました。
どうせ誰かが捨てたものなんだから貰ってもいいよね、と自分に言い訳をしてその椅子を部屋に持ち帰りました。
私は部屋の雰囲気にも合ったその椅子がすっかり気に入りました。

ある時、友人が遊びに来ました。
友人はそれまで何度も来ていて、よく泊まっていたのですがその日は早々に帰ってしまいました。

忙しかったのかな、と思った程度でしたが、その後友人から思ってもみない話を聞かされました。

それはあの日に友人が家に入るとニオイがしたと言うのです

それまで知らなかったのすが、友人は霊感が少し強いらしく霊的なものを感じると臭う、と言うのです。

何度も来ている部屋なのになんであの日に限って臭ったのかは分かりませんが、引越しした方がいいとすすめてきました。

私自身は全く何も感じていなかったので、ちょっとびっくりしましたが引越ししてまだ2年も経っておらず、資金も無いですしすぐに引越しする事は出来ませんでした。

その後勤めていた会社が倒産、父が病気で亡くなったりと悪い事が1年半くらいの間に続きました。
何となく気持ちも沈みがちになり、そんな私の姿を心配した友人がお祓いに誘ってくれました。

気分転換になるかもしれないから、と言う事でしたがまだ臭う部屋に住んでいたので、それも心配してくれたようでした。

しかし、お祓いの予約をしても当日必ず行けなくなるトラブルが起こるのでした。

一度目はインフルエンザで寝込み、二度目はぎっくり腰で動けなくなりと、そんな理由でしたが二度目にキャンセルしてから友人が誘ってくる事は無くなりました。

私に行く気が無いと思ったのかもしれません。
その間に友人が妊娠した事もあり、私の方からも誘いづらくお祓いの話は流れ、その後子供が生まれると友人とはすっかり疎遠になってしまいました。

その後、就活もあまり上手く行かず派遣先でも人間関係で悩む事が多くなっていました。

夜も眠れなくなり、自分はダメな人間だ、早く解放されて楽になりたいと思うようになっていました。

ある朝ベッドの布団を整えていると母の形見の指輪が布団の中から出てきました

母は私がまだ学生の時に亡くなっていたのですが、ジュエリーボックスに入れてタンスの中にしまってあるはずの指輪が、なぜ布団の中から出てきたのか不思議に思いながらも、何となくそのまま指輪を付けて過ごしていました。

そして派遣期間の勤務が終わり、次に就職試験を受けた職場で契約社員として働き、1年後に正社員として働けるようになりました。

その職場の先輩から本棚を譲ってもらう事になり、家まで運んでもらい一緒に食事をしてその日は帰ったのですが、翌日会社であの拾った椅子に女の人が憑いていると言われびっくりしました。

先輩は霊感が強いらしく、家に入ってすぐに見えたのだそうです。
その女性は椅子の横でずっと泣いていたそうです。

先輩はとにかく悲しい気分になりとても苦しくなった、と言っていました。

そんな素振りは少しも見せていなかったので驚きましたが、とにかく早くあの椅子を処分するようにと言われました。

椅子を拾った経緯や今まであった事など説明すると、先輩の知り合いの伝手を頼ってお寺でお焚き上げ供養してもらえる事になりました。
供養も無事に済み、その後引越ししました。

現在もその職場で働いていますが、責任ある仕事を任されるようにもなりやり甲斐を感じる日々を送っています。

思えばあの当時は常に気持ちが沈みがちで、悪いようにしか物事を考えられなくなっていた様に感じます。

あの日、布団の中から現れた母の形見の指輪はその日からずっと外さずにつけたままです。

もしかして母が心配して守ってくれたのかもしれないと勝手に思って感謝しています。