ガラパゴス諸島で船をレンタルして沖でシュノーケリングした体験談

不思議な体験談

南米旅行の途中で、ガラパゴス諸島に寄ってみました。ある一つの島に滞在して、毎日シュノーケリングを楽しみながらアシカやウミガメと泳ぐ日々でした。漁師さんから船を借りて沖まで出た時にウミガメの交尾のシーンに出会ったのが印象的な思い出です。

南米のエクアドルに属するダーウィンの進化論で有名なガラパゴス諸島

南米のインカの遺跡を巡る旅にもそろそろ飽き始めた頃、旅友達からガラパゴス行きを誘われた。

アンデスの山岳地帯に多いインカの遺跡ももちろん素晴らしいけど、山の次には海も見たくなるもので、特にガラパゴスについて調べることもなく旅友達の誘いに乗った。

南米屈指の観光地のガラパゴスは、宿泊費も外食費も、もちろんスーパーで売っている食材も南米本土とは比較にならないぐらい高い。

ガラパゴスに飛行機で飛ぶ前に、エクアドル第三の都市グアヤキルで食料を大量に買い込んだ。

そしてガラパゴスに到着した後は、安宿にチェックインして毎日ビーチに出かけてシュノーケリングを楽しんだ。

青い空、そして時間帯によってお天気によって刻々と色を変える美しく広い海。日焼け止めも塗らず、毎日真っ黒になってアシカやウミガメと一緒に泳いだ。

ガラパゴスに生息する動物たちは、おそろしく人懐っこい。人間に慣れているのか、警戒することなくこちらに近づいてくる。

そんなある日に仲良くなった地元の漁師さんに船を借りて

沖まで出かけた。船を借りた時間は24時間。夜には一度陸に戻ってきても良いし、そのまま沖で過ごしても良いし。

ビーチで知り合った旅仲間数人と、お昼ご飯と晩ごはん用に野菜のサンドイッチを作って出かけた。

昼間はシュノーケリングしたり、疲れたら船の上でお昼寝したり。旅仲間との会話はとても楽しい。

でも、会話がなくても私たちの間を流れる時間は穏やかで、ただぼんやりと海を眺めている時間もやはり楽しい。何かを共有するのに、言葉はいらないのかもしれない。

陸から見る海と違って、陸影が全く見えない沖で見る海は一種の恐怖を覚えるほど広くて深い。

陸近くではあんなに可愛くて人懐っこかったウミガメやアシカも、沖に出ると人間である自分とは違う海の世界の住人という感じがした。

そんなことを考えているうちに、昼が過ぎ、茜色と夕方も過ぎ、辺りは真っ暗になった。静かな静かな静寂の数時間が訪れた。誰もが声をひそめて会話をしていた。

そろそろ陸に一度帰ろうか、という話になった時、碇をおろしていた小島の周辺で、一斉にウミガメの交尾の声がきこえてきた。

一体何百匹のウミガメがいるとこれほどの大音声になるんだろう。

月明かりと星明りしかない漆黒の海で、一体どれぐらいの時間をウミガメの交尾の声を聞いて過ごしたのだろう。気がつけば海には静寂が、空には夜明けを告げる白い光が見えていた。